研究実績の概要 |
本研究計画は、1)これまでに見出した脳神経刺激を介する大脳前頭前野に局在する左腹外側部領域(Lt.VL-PFC)や左背外側部領域(Lt.DL-PFC)等の機能局在部位の活性機序の解明と、2)臨床研究を実施することで、各脳神経刺激課題の遂行により大脳前頭前野の活性化に伴う認知機能や学習効率等の変容・向上を明らかにすることを目的としている。 本研究期間の最終年度である平成29年度には、1)について、主に三叉神経(第V脳神経)の中の上顎神経(V2)と下顎神経(V3)を介する顔面頬部と口腔内への寒冷刺激による大脳前頭前野の機能局在部位の活性化機序の再検証と、遂行機能や選択的注意機能の評価検査の一つであるStroop テストの学習効率の変化について統計学的解析を行った。それらの解析から得られた新しい知見を取りまとめ、Journal of Fukuoka Dental College(査読有)に論文採択された(2018,in press)。さらに、Stroop テストの学習効率の変化に関する知見を神経科学領域の学術機関誌に投稿している。 2)について、平成28年度に倫理審査の承認が得られた高齢者施設入所者を対象とする臨床研究を継続することで、三叉神経(第V脳神経)や顔面神経(第VII脳神経)を介する口腔ケアプログラムによる認知機能の変容・向上に関して解析を進めることができた。 本研究において見出したこれらの知見は、三叉神経(第V脳神経)や顔面神経(第VII脳神経)等の脳神経刺激を介する大脳前頭前野の機能局在部位の活性化に関する科学的根拠となりうる。さらに、高齢者施設入所者を対象とした口腔ケアプログラムによる認知機能の変容・向上の検証は、認知機能を目的としたリハビリテーションへつながる臨床研究として評価される。
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