研究課題/領域番号 |
26671029
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田口 敦子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70359636)
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研究分担者 |
深堀 浩樹 東京医科歯科大学, 保健衛生学研究科, 准教授 (30381916)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 在宅看取り / 施設看取り / ケアの質の担保 / 教育プログラム / チェックリスト |
研究実績の概要 |
本研究では地域における終末期の質を向上するためのQuality Improvementツール(以下、QIツール)および教育プログラム(以下、QI教育プログラム)を開発することを目的とした。まず、自宅での看取り経験のある遺族へのインタビューを行い、QIツールやQI教育プログラムに必要な要素を検討した。次に、同様の目的で、自宅で緩和ケアを受けて既に死亡した患者11名程度の診療記録レビューを行った。これらの結果、終末期の症状マネジメントやコミュニケーションについて充実させる必要性が示唆された。 QIツールは、簡易的なチェックリスト形式にした。また、終末期の時期によって、チェックする内容が異なるため、導入・継続期、継続アセスメント、移行アセスメント、臨死期、死後のケアに分けて作成した。医師・看護師と協議のうえ、QIツールの試作版を完成させた。 QI教育プログラムでは、症状マネジメントおよびコミュニケーションの内容を強化し、それ以外にも終末期の在宅ケアに必要と考えられた、痛みのマネジメント、エンド・オブ・ライフ・ケアにおける倫理問題、臨死期のケア、質の高いエンド・オブ・ライフ・ケア、グリーフケア、介護保険制度・多職種連携、QIツールの使用方法についての教育プログラムを作成した。 施設版の作成に向けては、対象施設の特性を知るため、診療記録のレビューにより、終末期の療養状況等をデータ収集中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H25年7月に英国のIndependent Reviewにより看取りのクリニカルパスであるLCP(Liverpool Care Pathway)が段階的廃止勧告を受けた。LCPは、看取りの質の担保を目的に開発されたツールで、本研究と関連がある。本研究は、英国のIndependent Reviewでの指摘事項を十分に活かし、新たなものを開発する必要があるため、LCPのその後の動向をモニタリングしつつ、QIプログラムとQI教育プログラムの検討を行った。そのため、時間を要した。今後も、英国と同様のことが起こらないよう慎重に進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、まず、訪問看護事業所(1ヶ所)および高齢者施設(1ヶ所)の職員を対象とした介入前調査を実施する(調査項目:看取りに関する認識、技術、知識、等)。その後、介入として訪問看護事業所および高齢者施設で、QI教育プログラムの実施後、作成したQIツール試作版の使用を開始する。介入期間は、サンプルサイズに拠るが、8か月程度を予定している。介入期間終了後は、死亡後、6か月以上経過した遺族を対象とした自記式質問紙調査を行う(質問項目:医療者の技術の評価、悲嘆、等)。また、職員を対象とした介入後調査を実施する(調査項目:看取りに関する認識、技術、知識、等)。遺族や職員には、ヒアリングも行い、質的にも評価を行う。 なお、よりよりQIツールおよびQI教育プログラムの開発のために、看取りのケアに関する国内外の学会、先進地の視察による情報収集を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
QIツールおよびQI教育プログラムによる介入を10月頃から開始する予定であったが、平成27年度の開始となったため、残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
訪問看護事業所(1ヶ所)および高齢者施設(1ヶ所)の職員を対象とした介入前後調査を実施するため、調査票印刷、発送、入力費に使用する。また、介入前の事前準備として、QIツールの記録様式の印刷やQI教育プログラムの実施(講師謝金、研究者の旅費)に使用する。介入期間では、研究者のデータ収集のための旅費、協力施設への謝金、データ入力費に使用する。
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