研究課題
本研究は、日本版Parenting Stress Index(PSI)を用いた乳幼児の親の育児ストレスの調査から20年を経て、現代の親の育児ストレスの実態を、対象を母親から両親に、子どもの年齢を0~3歳から0~6歳に拡大して把握することにより、育児ストレスの普遍的特性と時間の経過の中で変化した育児ストレスの特性を地域性を含めて明らかにすること、調査結果に基づき「親であること」を支える指針作りに取り組むものである。当該年度に実施した内容を以下に示す。親の育児ストレスに関する本調査の実施:原版PSI-4への改訂に基づき修正を加えた日本版PSI、家族背景、ソーシャルサポートに関する調査票を用いて、東北、関東、東海、関西、四国の1都5県における調査を実施した。簡易サンプリングにて子育て支援事業、乳幼児健診、および保育園にて乳幼児の親に調査の依頼を行った。研究代表者の所属機関で倫理審査の承認を得て調査を実施した。6014組の親に調査票を配布し、回収(率)は母親1519名(25.3%)、父親816名(13.6%)であった。A県内で実施した調査による母親のデータを暫定的に分析した結果を以下に示す。修正版の日本版PSIを修正前の日本版PSIと比較するとほぼ同様の因子構造であった。しかし、一部に20年前の調査結果と異なる点も見いだされ、表現の変更に伴う相違のみならず、現代の親のとらえ方の変化も推察された。対象を拡大したこと、経済的因子等との関係などを含めて今後より詳細な検討を行うことによって、新たな育児ストレスの特徴が見いだされるものと考える。これらの結果に基づき、育児中の家族への「親であることを」を支える支援について検討する計画である。