平成26年度のA県内の自治体に採用された新任保健師(以下新任保健師)28名を対象とした保健師実践能力の発展過程の調査結果を新任保健師の指導保健師6名と共有し、指導の現状を把握するとともに、実践能力の発展を支援する方法を検討した。その結果、指導保健師は、指導に困難を感じながらも新任保健師の個々の状況を判断し様々に工夫してチックシートに示す実践能力の到達目標を達成できるように支援しており、新任保健師の実践能力の発展を支援する方法としては、新任保健師自身のキャリアプランを共有し進捗状況を確認・助言すること、職場全体で新任保健師の育成方法を検討・共有することが必要であると考えられた。 5年目保健師の実践能力の到達状況およびその発展を支援する方法を明らかにするために、A県内の自治体に就業し平成27年度に実務勤務年数が5年目となる保健師のうち同意が得られた4名を対象として、筆者らが開発した5年目保健師実践能力到達目標チェックシートを用いて、4年5・6か月(1回目)および5年5・6ヶ月(2回目)の2回到達状況を把握し、1回目に到達していなかったが2回目には到達した目標について、達成するための取組および得た支援を調査した。その結果、5年目保健師は与えられた役割や担当事業について主体的・積極的に関わり、上司は未経験の業務に携われるように配慮していたことが明らかになった。5年目保健師の実践能力を高めるには、事業担当者として予算確保から事業の企画・実施・評価という一連のプロセスを経験すること、自立して取り組める業務や役割を与えることが必要であると考えられた。以上を5年目保健師の上司2名と共有し、実践能力の発展を支援する方法を検討した。その結果、5年目保健師の課題意識を尊重した支援計画の作成、職場全体での指導体制づくり、保健所保健師による教育支援が必要であると考えられた。
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