研究課題/領域番号 |
26671042
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
横山 美江 大阪市立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (50197688)
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研究分担者 |
林 知里 大阪市立大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (50454666)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ネウボラ / 母子保健システム / 乳児 / 母親 / 育児環境 |
研究実績の概要 |
近年、わが国では児童虐待に関する事件が多発しており、保健師活動においても、重要な取り組むべき課題となっている。一方、フィンランドでは、児童虐待に関する事件は、ほとんど発生しておらず、日本の母子保健を取り巻く環境とは異なった環境を有している。フィンランドでは、妊娠中から出産後まで切れ目なく手厚い支援がなされるなどの優れた母子保健システム(ネウボラ)が確立しており、日本の母子保健政策、すこやか親子21(第2次計画)のモデルともなっている。現在、フィンランドの母子保健を統括しているフィンランド国立健康福祉研究所と国際共同研究を進めており、児童虐待予防を強化するための手がかりを得るような研究へと発展できるよう研究を推進している。今年度は、フィンランドにおける母子保健の専門家とともに、フィンランドの母子保健システムと切れ目ない子育て支援の中核をなしている「ネウボラ」のシステムについて解説した論文をまとめた。さらに、日本においてフィンランドのネウボラをモデルとして、どのような視点を日本の母子保健システムのなかで無理なく活用・工夫できるかという点を検討し、論文にまとめた。いづれも保健師の専門誌に掲載された。これらの活動と並行して、フィンランドのネウボラを利用する乳児を持つ母親、および日本の母親の育児環境と健康状態を比較研究するためのデータ収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、フィンランドの母子保健システム(ネウボラ)に関する論文を保健師ジャーナルに2報掲載され、日本においてフィンランドのネウボラをモデルとして、どのような視点を日本の母子保健システムのなかで無理なく取り入れ、工夫できるかという点についても検討できた。また、フィンランドのネウボラを利用する乳児を持つ母親と、母親の年齢、乳児の月齢、および子どもの数をマッチさせた日本の母親の育児環境や健康状態の比較研究するためのデータベースの構築も行った。今後は、そのデータを分析する予定である。以上の理由から、おおむね研究計画が順調に進んでいると判断できた。
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今後の研究の推進方策 |
乳児をもつフィンランドの母親と日本の母親の比較分析 1)データの分析と成果発表 フィンランドのネウボラを利用する乳児を持つ母親と、日本の乳児を持つ母親を対象として調査したデータベースを用いて比較分析を実施する。日本の母親は、フィンランドの母親の年齢、乳児の月齢、および子どもの数をマッチさせた母親を対象とする。そのうえで、フィンランドのネウボラを利用する乳児をもつ母親と、日本の乳児をもつ母親を比較分析し,日本の乳児を抱える母親の育児環境、ならびに母親の健康上の課題等を抽出する。さらに,フィンランドで実施されている効果の高い母子保健サービスを参考に,日本で実施可能でかつ日本に適した新たなシステムを検討する。データ分析の結果は、日本公衆衛生学会に発表する予定である。さらに、英文の論文としてまとめ、投稿する予定である。
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