研究課題/領域番号 |
26671046
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
錦戸 典子 東海大学, 健康科学部, 教授 (10172644)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 中小企業 / 健康職場 / 職場環境改善 / 経営分野 / 産業保健分野 / 協働 |
研究実績の概要 |
本研究は、喫緊の課題でありながら既存の産業保健の視点・アプローチ方法だけでは実現できなかった中小企業における健康・安全重視の職場環境の普及推進に向けて、経営分野と協働することによって新たな原理・方法を創出し、実践的な推進モデルを開発することを目的としている。平成26年度は、次の研究活動を行った。 1.文献検討による先行研究および良好実践事例の収集・分析: 中小企業において、従業員を大切にする視点を持ち、過重労働や職務ストレスによる健康障害リスクの少ない、風通しの良い良好な職場風土を築いている職場事例を紹介した文献から、良好実践事例を収集し重要と思われる要素を抽出した。 2.企業訪問・インタビューによる良好実践事例の収集と分析: 上記文献で紹介されている事例ならびに関係者から推薦された企業の中から、特に優れた実践をしている中小企業を選出し、訪問調査を行った。企業経営者および社員数名へのインタビューを行って、中小企業における健康・安全重視の職場環境づくりの推進に関連すると思われる要素を抽出した。 3.「人を大切にする経営学会」に関する情報収集: 本研究の開始と期を同じくして、連携研究者を中心として設立準備が本格化され、平成26年9月に設立された「人を大切にする経営学会」に研究代表者も準備段階から参画し、関係者からの情報収集を行った。 4.両分野実践者・研究者の協働によるデータ分析・考察(グループ討議): 1~3の調査により得られた情報を基に、研究代表者を中心とする産業保健分野の研究者と、連携研究者を中心とする経営分野の研究者が協働してグループ討議を重ね、データ分析・考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
連携研究者を中心とした経営分野の研究者と、研究代表者を中心とした産業保健分野の研究者との協働も、極めて順調に推移しており、当初の計画どおりの成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は最終年度となるので、初年度に得られた研究成果に基に質問紙調査を行って、中小企業における健康・安全を重視する企業文化の普及推進に役立つエビデンスを構築する予定である。経営者および人事労務担当者からの協力が得やすい調査方法としてインターネット調査を計画中している。さらに、新たに設立された「人を大切にする経営学会」を通した情報収集・発信なども活用しながら、中小企業における健康的な職場環境づくりの普及推進に役立つ原理・方法を明らかにするとともに、実践的な推進モデル開発に向けた検討を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の企業訪問・インタビュー調査で得られた成果を基に、全国的な質問紙調査(インターネット調査)を次年度に行うことが望ましいと判断されたため、そのための費用を次年度に残した。
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次年度使用額の使用計画 |
大規模なインターネット調査のための業務委託費、ならびに、経営分野と産業分野の研究者が一堂に会してデータ分析・討議を重ねるための会議費、旅費、研究協力者への謝金、として使用する予定。
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