研究課題/領域番号 |
26700001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河村 彰星 東京大学, 総合文化研究科, 講師 (20600117)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 計算量 / 数値計算 / 精度保証 / 函数解析 / ワイラオホ次数 / 微分方程式 / 力学系 / 計算可能解析 |
研究実績の概要 |
前年来の函数解析に用いる空間の計算論的表現についての進展を論文にまとめ、国際会議Computability in Europe (CiE)(仏パリ、七月)で発表した。また、二型計算と表現の理論を精密化する形での計算量理論の展開という本研究の中心的手法について、従来のように個別の成功例を調べるにとどまらず、一般にどのような空間にまで適用できるのかを、近似理論の手法により明らかにすることができたため、国際会議31st Annual ACM/IEEE Symposium on Logic in Computer Science (LICS)(米ニューヨーク、七月)で発表した。また、従来から実装を進めていた厳密実数計算ライブラリiRRAMの解析函数クラスを多変数に拡張することで微分方程式の級数解法に応用し、結果と計算速度面での課題について日韓研究集会19th Japan-Korea Joint Workshop on Algorithms and Computation (WAAC)(北海道函館市、八月)で報告した。
これら個々の結果に加えて、二型計算と表現の理論やワイラオホ帰着などの手法を用いて実数計算における計算量を議論する枠組とそれに関する最近の展開を隣接分野に向けて紹介する招待講演を第二十八回日本オペレーションズ・リサーチ学会数理計画研究部会(RAMP)シンポジウム(新潟、十月)や日本数学会年会(東京、三月)などで行った。また、解析学における計算理論に関する国際会議(CCA 2016、葡ファーロ、六月)で論文委員長を務めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初より計画していた理論・応用両面の課題のうち幾つかにおいて、上述のように、成果を得て国際会議や研究集会で発表したほか、更なる統合・深化に向けた端緒も得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
引続き理論・応用の両面の課題に取り組むが、最終年度であるので特に、力学系における計算問題や、現象数理分野の具体的な微分方程式など、他分野への展開を重視する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内に得た成果の一部に、次年度中に開催される国際会議等で発表予定のものがあり、まだ発表のための旅費・学会費が発生していないため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度中に得た成果の発表に係る費用を賄うため、また28年度中に始まった共同研究を加速させるために使用する。
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