研究課題/領域番号 |
26700003
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鬼沢 直哉 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (90551557)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 計算機システム |
研究実績の概要 |
昨年度までに提案したIPパケット処理向き検索アルゴリズムを元に,低消費電力性の実証を目的としたチップ実装のため,ハードウェアアーキテクチャの再検討を行った. 昨年度設計したハードウェア(IEEE JETCAS, vol. 6, no. 1, pp. 13-24, 2016)は,ある一種類のパターン検索に特化したハードウェアであったために,非常に面積効率がよいものであった.しかしながら,対象とするパターンのサイズや種類が変更となった場合,提案ハードウェアでは対応が難しいという問題があった. そこで本年度は,異なるサイズ・種類のパターン検索に対応可能な,Network-on-Chip(NoC)ベースのフレキシブルなハードウェアアーキテクチャの検討を行った.NoCではRouterをベースにチップ内データ転送を実現することから,ハードウェアでありながら動的にデータ転送の接続先を変更可能である.つまり,記憶させたいパターンに応じて,検索処理に必要なデータ転送を設定可能となるため,異なるサイズ・種類のパターン検索が可能となる. ハードウェア実装を行う前に,System Cによるシミュレータを実装し,データベース検索への適用・評価を行った.このシミュレーション結果により,様々なデータパターンへの適用が可能であることがわかったため,この結果を元にハードウェア設計を行っている段階である. この研究成果は,NEWCAS2017(2017年6月)で発表予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は昨年度考案した検索アルゴリズムをベースに,ハードウェア設計・チップ実装を行う予定であった. しかしながら,昨年度提案のハードウェアは,ある1種類のデータパターンに対しては非常に面積効率がよかったものの,汎用性が低いという問題が発覚した. そのため,従来ハードウェアアーキテクチャを拡張させ,様々なデータパターン検索に対応可能なアーキテクチャを検討,及びシミュレーションによる評価を行った. そのため,本年度提案の新ハードウェアアーキテクチャに基づくチップ実装を,次年度(H29年度)に行うこととしたため,研究計画よりもやや遅れている状況である.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度であるH29年度は,H28年度提案のNoCベースのハードウェアアーキテクチャのチップ実装を行う.使用するプロセスは,従来の計画と同様にTSMC 65nm CMOSプロセスを用いる予定である. NoCベースのハードウェア実装に向けては,提案Sparse Clustered Networks(SCN)に基づく検索アルゴリズムのハードウェア化に加えて,NoC部分もハードウェア化する必要がある.NoCに必要なコンポーネントは,NoC内のデータ転送の行き先の制御を行うManager,チップ内データ転送の衝突回避を制御するRouter,データの到来に応じた検索処理を行うProcessing Elementsである. 上記のコンポーネントを含めてチップ実装を行い,そのチップ測定を行うことで,提案方式の低消費電力性の実証を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
計画では本年度提案アルゴリズム・ハードウェアに基づくチップ実装(TSMC 65nm CMOSプロセスを使用)を行う予定であった.しかしながら,提案ハードウェアを拡張させることで,ある一種類のデータパターンに特化した検索処理だけでなく,サイズ・種類の異なる様々なデータパターンに対応する,新たなハードウェアアーキテクチャを考案した. そのため,チップ試作用に計上していた予算による未使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
このため,最終年度であるH29年度に実施予定のチップ試作費用として,未使用額はその経費に充てることにしたい.
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