研究課題/領域番号 |
26700007
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
荒川 豊 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (30424203)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | タッチ操作 / コンテキスト認識 / 感情認識 |
研究実績の概要 |
今年度は、タッチ操作の挙動によるコンテキスト認識に関して、タッチ操作と通信トラヒックの関係分析について分析を行った。これは、タッチ操作の挙動から、どのようなアプリケーションを利用しているのかを推定し、そのときのトラヒックがどのように変化をするかを確認した。さらに、その通信がZigbeeで構築したホームネットワークにどのような影響を与えるかについて実験を行い、標準化会議で発表を行った。
また、ストレスや感情といった内面的なコンテキストの分析に向けて、いくつかの領域と組み合わせた研究を進めた。昨年度から実施しているオフィス環境におけるストレス分析では、タッチ操作だけではなく、マウスやキーボード、椅子など、オフィス環境のさまざまな場所にセンサを取り付け、仕事中のさまざまな状態を計測するシステムの構築を進めている。基本的には、加速度やジャイロと行ったモーションセンサから得られるデータを機械学習することによって状態をある程度分類できることを明らかにしている。これらの成果は、国内会議および国際会議でデモ発表をし、国内会議では賞を受賞した。さらに、スマホ同士でビーコン信号を送受信することで、オフィス内の人間関係を明らかにするシステムの構築も進めている。
また、感情については、音に対して、クラウドソーシングによって感情のタグ付けを行い、写真に対して適切な音を選択するシステムを構築した。同じく、ユーザの嗜好を分析する手法として地図を用いた手法を提案し、過去に作成した地図から嗜好を判定し、その嗜好に応じた地図を推薦するシステムを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度から、タッチ操作だけではなく、ユーザを取り巻く様々なモノにセンシング対象を広げたが、今年度はそれぞれの提案を実装まで勧め、デモ発表を行ったり、長期的な計測が可能になっている。ストレスの認識は、個人に依存するため、計測が難しいという点が今後の課題となるが現時点では概ね順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
タッチ操作の挙動に関しては、スマートフォンアプリとして単独動作するものを用いて、10名x10日程度のデータセットを構築したいと考えている。その上で、挙動に基づく持ち方認識アルゴリズムの公開、さらにストレス検知手法の提案を行いたい。オフィス関連では、タッチ操作に加えて、マウスや椅子などの挙動をセンシングし、それらから集中度などを導きたいと考えている。最終年度は、産学連携による成果の実用化ならびに国際共同研究による発展を狙っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
投稿した国際会議に採択されず、そのために確保していた費用が余る形となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に再投稿し、その発表費用として利用する予定である。
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