研究課題/領域番号 |
26700009
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 誠 京都大学, 国際高等教育院, 特定講師 (00646911)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 情報検索 / データマイニング / ランキング学習 / 対話的情報検索 / Webマイニング / オンライン評価 |
研究実績の概要 |
平成29年度の研究計画ではWebにおける意見の誘出を主な課題としていた.特に,あるユーザの行動や特定の事象への反応から,そのユーザが持っている意見を推定することを課題としていた.平成29年度は下記の3テーマについて研究成果を得た: 1.ソーシャルメディアからの意見誘出: ソーシャルメディア上において,特定の属性(e.g. 学生や高齢者等)を持ち,ある話題に関して意見を発信しているユーザから意見を誘出する方法について研究を行った.ソーシャルメディアにおいて,ある話題に関する意見は発信者の属性と合わせて記述されることは少なく,単純な文字列マッチングによる検索では先述の問題設定に沿うような結果を得ることは困難であった.そこで我々はソーシャルメディアかが構成するグラフへ適合フィードバックを伝播させることによって,特定の属性を持つユーザを効果的に発見する方法を提案した. 2. レビューからの意見誘出: レビューからある商品に関する意見を抽出することで,商品を任意の性能順に並び替える方法について研究を行った.我々は相対的な評価(e.g. カメラAはカメラBより夜景が綺麗に撮れる)が絶対的な評価(e.g. カメラAは夜景が綺麗に撮れる)より正確に意見を誘出できる情報であると仮定し,これに基づいて商品を並び替える方法を提案した.実験の結果,相対的な評価による順位付けは絶対的な評価による順位付けよりも正確であることを示した. 3. 質問投稿サイトの検索ユーザからの意見誘出: 質問投稿サイトの検索において,複数のランキングを混合することによって,どのランキングが検索ユーザに好まれるかを効率的に推定する方法を提案した.特に,ヤフー知恵袋において3ヶ月間の評価実験を実施し,どの程度のフィードバックを得れば統計的有意にランキング間の差を得られるかを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度の研究実績報告書でも報告した通り,ユーザから反応を得るために必要なコストが想定以上に大きく,平成29年度の研究計画を一部変更している.平成29年度の計画ではユーザがある状況下で発信した情報を用いることで.ユーザ実験を行わずに有用な刺激を推定できるアプローチを採用している.この変更に起因した実験計画の遅れによって,詳細な実験や論文投稿などがまだ行われていないため,当初の計画からは遅れが生じている.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,これまで得られた研究成果に基づき以下の発展的な研究を計画している: 1. 異なるドメイン間の選好推定: ある特定のドメインで抽出された選好を他のドメインの選好と比較することによって,その差を学習し,選好のドメイン間転移を可能にする研究を予定している. 2. 意見の誘出に基づく将来予測: Web上のメディアから得られた意見等を元に,ある事象が起こる可能性がどれくらい高いのかを推定する方法について研究を行う予定である. 3. 検索ログからの統計予測: 検索エンジン等に蓄積されたログデータから,人々の行動を予測し,特定の統計情報を予想する方法について研究を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
以下の理由により,「補助事業期間延長承認申請」を行ったため:
平成28年度の研究実績報告書でも報告した通り,ユーザから反応を得るために必要なコストが想定以上に大きく,平成29年度の研究計画を一部変更している.平成29年度の計画ではユーザがある状況下で発信した情報を用いることで.ユーザ実験を行わずに有用な刺激を推定できるアプローチを採用している.この変更に起因した実験計画の遅れによって,詳細な実験や論文投稿などがまだ行われていないため,平成30年度までの補助事業期間延長を申請する.
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