研究課題
大気シミュレーションデータを用いた雲の3次元構造の自動的な抽出および特徴分類手法の開発に成功した。開発手法では、3次元の雲水量および雲氷量の総和から雲の3次元構造を抽出し、個々の雲に対してラベリングを行う。それらの各雲に対して、雲頂高度、雲底高度、水蒸気量、鉛直風速等の物理的特徴から、十種雲形を簡易化した6種類に自動的に分類を行う。開発手法を雲解像モデルNICAM(水平解像度3.5km)によるデータに適用し、熱帯における積雲の成長過程や熱帯低気圧の生成・発達過程の可視化を試みた結果、従来の雲画像と比較して、雲の物理的特徴と分布および時間変化を直感的に理解可能な形で効果的に可視化できていることを確認した。また、海洋シミュレーションデータを用いた渦の自動的な抽出および追跡手法の開発に成功した。開発手法では、海面高度および速度場から渦構造の抽出および特徴分類を行い、overlapping法による時間変化の追跡およびイベント抽出を行う。さらに、生成や分離、併合、海流からの切離やトラップといったイベント発生時の渦をハイライト表示する機能を実装した。開発手法を渦解像準海洋大循環モデルOFES(水平解像度3.3km)の北西太平洋領域データに適用したところ、黒潮付近の渦の振る舞いを高精度に抽出できていることを確認した。また、抽出されたイベントに対して明度をコントロールして可視化することにより、膨大な量のシミュレーション結果から注視領域のみを効果的に表現することに成功した。
2: おおむね順調に進展している
当該年度中に開発した手法を用いた研究成果を、2本の論文としてまとめた(1本アクセプト、1本投稿中)。また、関連研究は、2件の表彰を受けた。大気および海洋における事例研究の成功例として、当該研究が順調に進展しているといえる。
平成26年度および27年度に開発した手法を用い、引き続き大気、海洋、地震・津波分野における事例研究を行う。特に平成28年度においては、海洋における熱塩循環および個体地球における地震波を対象とした研究を進める。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Procedia Computer Science
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流体力学会誌 ながれ
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