自閉スペクトラム症(ASD)者では、身体の捉え方の問題が生じ、これが視点の置き換えや運動の苦手を生み出すと考えられる。定型発達者では、模造品の手と実験参加者の手を同時に筆で刺激すると、視触覚の統合により、模造品の手が自分の手であるかのような錯覚が生じる(ラバーハンド錯覚)。一方、ASD者ではこの錯覚が弱い。我々は、マウスでも、このような現象(ラバーテイル応答)が生じることを発見したため、ASDモデル動物での傾向を調査した。結果、自閉症モデルマウスの一種であるCaps2 KOマウスでは、ラバーテイル応答が生じず、c-Fosイメージングからも感覚統合に関わる後部頭頂皮質の活動低下が示唆された。
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