実用的・複雑なシステムについて、コンポーネント化と学習ワークフローのプロトタイプ構築を行った。具体的には法律文書の処理、司法試験の自動解答、検索、質問応答などである。 法律文書の処理・司法試験の自動解答については、国際コンテスト型ワークショップであるCOLIEE(Competition for Legal Information Retrieval and Entailment)のオーガナイザとして、法情報学の国際ワークショップJURISIN(Juris Informatics)併設のワークショップを開催するとともに、参加者として司法試験の自動解答システムを構築した。自動解答システムでは内部的に複数の自然言語処理コンポーネントを用いるとともに、開発においてこれまで構築してきた可視化ツール等を用い有用性を確認した。また、医療言語処理など他の応用アプリケーション構築においても、構築したコンポーネントの利用を行った。 より基盤的な技術として、検索・質問応答のコンポーネント化を進めた。質問応答は複合的なコンポーネントからなるアプリケーションのため、その部分的な再利用を容易にすることが目的である。 さらに、利用者の利便性を考慮し、従来コンポーネント化の際に準拠していた国際標準よりも、開発者にとってより容易に利用可能なAPIを定義しアクセスを可能にする方法を提案し、プロトタイプの実装を行った。これは開発者が標準を学習するハードルを下げるとともに、標準の縛りを緩くすることでソフトウェア設計の柔軟性を高め、一方で極力従来の標準準拠の実装からの変更を小さくするAPI仕様によりコンポーネント実装の共通化を図ったものである。
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