感染症の数理モデルの多くは、感染伝播や自然史をモデル化したボトムアップ式の数理システムであり、公衆衛生現場で欠かせないツールとなった。しかし、感染が成立する瞬間は直視下で確認できないため、感染現象は他の「目に見える」現象を基に推定する必要があるのである。本研究は、発病情報を利用して感染イベントや関連する観察不可能なイベントの情報を統計学的に推定し、感染動態の理解や感染症対策の評価に役立てるべく研究活動を行った。中東呼吸器症候群(MERS)やジカ熱などの発病データを基に多数の推定研究を報告できた。
|