研究課題
昨年度までに開発・設置した計測を維持することで、北海道・天塩研究林、京都府・山城水文試験地、山梨県富士北麓フラックスリサーチサイトの3つの森林において双曲線簡易渦集積(HREA)法、閉鎖型自動開閉式チャンバー法による森林―大気間のメタン交換量の観測を連続的に実施した。昨年から開始した北海道・美唄湿原での渦相関法を用いた観測は今年度も継続させ、冬季を含む通年のメタン交換量のデータを蓄積することができた。天塩研究林には、夏季に1週間滞在して森林内にメタン放出にかかわるホットスポットが存在することを明らかにした。3年間の計測データを整備し、天塩研究林は積雪期と盛夏期に生態系スケールで正味のメタン放出を示し、年間でも42± 75 mg CH4 m-2 yr-1 (2014年)、78 ± 49 mg CH4 m-2 yr-1 (2015年)、146 ± 48 mg CH4 m-2 yr-1 (2016年)の正味の放出を示していることが明らかとなった。山城試験地でも、盛夏期に生態系スケールで森林がメタンを放出する結果となった。山城試験地では、HREA法に加えて改良傾度法によるメタン交換量の計測を試みた。安定条件下においては傾度法の計算に必要な濃度差が得られたことから、傾度法の適用可能性が示唆された。富士北麓フラックスリサーチサイトでは、前年までと同様に通年に渡ってメタン吸収が観測された。この森林は火山灰度の上に成立しており、土壌が嫌気的にならないため、吸収源として作用していることが5年間の観測から明らかになった。美唄湿原では、昨年と比べて2倍程度の大きなメタン放出量が夏季に観測された。このことから湿原のメタン放出量には大きな年次間差があることが明らかとなった。今年度は冬季にも連続観測を維持し、積雪条件下であってもある程度のメタン放出がある事を明らかにした。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://atmenv.envi.osakafu-u.ac.jp/research/research_ch4_flux/