研究課題
本年度は、これまでに開発・改良を行ってきた全球エアロゾル化学気候モデル(気象研究所地球システムモデルを構成するサブモデル)を用いて、観測が充実する近年(2008-2015年)を対象とする全球モデル計算を行い、モデル計算結果の検証・解析を継続して実施した。観測により検証されたモデル計算結果を用いて、全球規模でのブラックカーボン(黒色炭素粒子)の時空間分布を推定するとともに、全球平均でのブラックカーボンの大気中寿命は5日程度と推定された。全球平均での大気上端におけるブラックカーボンによる瞬時放射強制力は0.2 W m-2程度と推定され、発生源域である東アジア域および遠方域である北極域におけるブラックカーボンによる瞬時放射強制力は、それぞれ、1.0 W m-2程度、0.2 W m-2程度と推定された。これらの放射強制力は、他エアロゾル成分の被覆に伴う光吸収の増大効果により40%程度増大することが推定された。また、CMIP6(第6期結合モデル相互比較計画)に向けて、本研究で開発・改良を行ってきた気象研究所地球システムモデルを用いて、産業革命前から現在まで(1850-2014年)を対象とした歴史実験計算を実施し、エアロゾルによる強制力が気候に及ぼす影響を評価した。さらに、領域気象化学モデルの開発・検証を行い、東アジア域でのエアロゾルが放射特性に及ぼす影響を評価した。これらの研究成果は、学術論文として掲載され、今後の気候モデルによる研究を実施する上での重要な知見である。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Meteor. Soc. Japan
巻: 97(2) ページ: 337-374
10.2151/jmsj.2019-020