研究課題/領域番号 |
26701015
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
木下 裕介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 製造技術研究部門, 研究員 (60617158)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シナリオ / 製品普及 / 省エネ・創エネ機器 / ストック・フロー分析 / 再生可能エネルギー |
研究実績の概要 |
本研究は、低炭素社会と循環型社会の両立に向けたエネルギーシステムの設計を支援するための方法論の開発を目的とする。特に、様々な省エネ・創エネ製品が将来の社会でどの程度普及しうるのか、さらに、それがエネルギーシステム全体にどのような影響及ぼしうるのかを分析する。このとき、エネルギーシステムを取り巻く将来社会の状況には様々な不確実性が存在するため、本研究では起こりうる状況をシナリオとして描写する。シナリオの描写を支援するためのシステムとして「物質・エネルギー連環シナリオシミュレータ」を開発する。このシステムを用いることにより、想定した将来社会の状況に応じたエネルギーシステムの変化を動的に評価することを目指す。 H27年度は、省エネ・創エネ製品の将来普及量を推計することを目的としてH26年度中に開発した「省エネ・創エネ製品普及モデル」、ならびに、収集を進めてきた様々なデータ(人口動態データ、いくつかの省エネ・創エネ製品の性能データ、インベントリデータなど)を用いて、2030年の関西地域を対象としたケーススタディを実施した。ここでは、省エネ・創エネ製品の段階的な性能向上によるエネルギー消費量への影響を分析可能とするため、ストック・フロー分析の考え方を取り入れることによって「省エネ・創エネ製品普及モデル」をアップデートした。さらに、このモデルを実装したツールのプロトタイプを作成した。さらに、省エネ・創エネ製品の将来普及を考慮しながら金属資源の長期的な消費量を推計するため、システムを構成するモジュールのひとつとして「資源枯渇シミュレータ」のプロトタイプを開発した。これについては、金属資源のうち銅を例としたケーススタディを実行することによって、手法ならびにツールの動作を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H27年度は、本研究で開発を進めているシステムである「物質・エネルギー連環シナリオシミュレータ」を構成するモジュールのうち、「省エネ・創エネ製品普及モデル」ならびに「資源枯渇シミュレータ」のプロトタイプを開発し、それぞれについて手法・ツールを検証するためのケーススタディを実施した。このように、システムを構成するモジュールの開発は着実に進捗している。一方で、個々の要素を具体化していくにともない、システム全体の仕様を見直す必要が出てきており、その作業をH28年度当初に実施する計画である。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度は、H27年度までの成果に基づき、「物質・エネルギー連環シナリオシミュレータ」の全体仕様を見直す。このとき、これまでに開発したモジュールをどのように接続すべきかが課題となる。また、本研究ではシナリオの作成が研究目的のひとつであるため、開発したシステムを用いたシナリオ作成手順の検討も進める計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
H27年度はシステム開発に注力することとし、当初計画していたシナリオ作成合宿(葉山)を実施しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
当初、H27年度に計画していたシナリオ作成合宿は、H28年度に実施する予定である。
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