研究課題/領域番号 |
26702001
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
板垣 史郎 弘前大学, 医学部附属病院, 准教授 (00360925)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アンジオテンシン / インスリン / 認知症 / 脂肪 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、大学院医学研究科病態薬理学講座と共同で、ヨードトランスポーターの機能解析研究および脳血管病態における遺伝子発現解析などの、アルツハイマー病をはじめとする認知症の病態に関与する可能性のある因子の分子生物的解析に着手した。糖尿病モデルであるGoto-Kakizaki(GK) ラットの神経系において新規知見が得られつつある。 ラット脳内ペプチド解析については、LC-MS/MS構造解析により、中枢移行性アンジオテンシン変換酵素阻害剤カプトプリル投与により、質量数1654.53の物質の発現が増加する現象を認め、、m/z=1241.68のフラグメントイオンを検出した。 平成29年2月に、千葉大学薬学研究院より、インスリンとインスリン依存的な脂肪細胞内のシグナルが記憶の維持に必要であり、インスリンシグナルの加齢に伴う変化が記憶低下の一因であるとの研究成果がプレスリリースされた(Tanabe et al., Cell Rep., 2017)。当該報告では、脳-脂肪組織間のシグナル伝達に寄与するペプチドDilp3が記憶維持に重要であると結論している。 我々は、カプトプリルについて脂肪蓄積調節機能の解析を行い、カプトプリルが脂肪蓄積抑制作用および脂肪組織重量の現象をもたらす知見を得ていた。この知見を基に、血圧と脂肪の双方に寄与する生体因子アンジオテンシノーゲンに着目し、カプトプリル投与により、血清中および脂肪組織中のアンジオテンシノーゲン濃度が低下することを見出した。一方、従来産生臓器と考えられていた肝臓におけるアンジオテンシノーゲン発現量はカプトプリル投与による影響を受けなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
従前、弘前大学医学部附属病院 臨床試験管理センター副センター長として、院内の治験・臨床研究管理にかなりエフォートを割く必要あり、さらに、平成28年6月より、医学研究科倫理委員会・委員長に任命されたため、さらに多くのエフォートを割く必要が生じた。そのような状況ではあったが、他の研究者の協力により一定の知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は弘前大学から札幌医科大学へと異動することになり、研究環境が劇的に変化する。弘前大学大学院医学研究科病態薬理学講座とは引き続き連携しながら研究を進めていく。そのほか、別業務で協力体制を築いてきた北海道薬科大学薬剤学分野に「生活習慣病」「食品機能成分」を柱として、さらなる検討を深めるため、協力を仰ぐ予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定よりエフォートを削減せざるを得ない状況となり、科学研究費補助金で十分に研究を遂行できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験に使用する試薬購入に用いる予定。
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