平成30年度は弘前大学大学院医学研究科病態薬理学講座および北海道科学大学薬剤学分野と共同し、「糖尿病」を切り口とした幾つかの研究を遂行した。一例として、弘前大医学部・病態薬理学講座とは、Hirosaki Med. J.誌2017年掲載論文の中で最優秀との評価を受け、第102回弘前医学会総会優秀論文賞に選出された前年の研究「2型糖尿病モデルGoto-Kakizakiラットが糖尿病性ニューロパチーに起因する慢性循環器疾患病態のモデル動物となる可能性」で用いた循環電気生理技術を活用し、循環電気生理研究のモデルとしてのメダカの有用性を明らかにした。 また、新たに北海道医療大学医療技術学部臨床検査学科との共同研究を立ち上げた。北海道医療大医療技術学部・臨床検査学科は動物個体レベルで脳内酸化ストレスを非侵襲的に画像化解析できる唯一の手法、EPRイメージングシステム(特願2017-050576、出願人:北海道公立大学法人札幌医科大学、国立大学法人大阪大学)を有しており、アルツハイマー病トランスジェニックマウスの個体解析により、アルツハイマー病態の変化と脳内酸化ストレス状態の変動が相関することを見出した実績がある。また、板垣は、コーヒーポリフェノール・クロロゲン酸が生体で抗酸化作用を発揮する鍵を見出した、食生活研究における革新的実績(薬理学&毒性学分野におけるTop1%高被引用文献)を有する。近年、クロロゲン酸のアルツハイマー病予防効果に関する報告がでつつあることから、EPRイメージングシステムを用い、クロロゲン酸のアルツハイマー病予防効果における脳内酸化ストレス抑制効果の寄与を個体レベルかつ視覚的に検証していく。
|