研究課題
本課題では、猛暑が発生しやすく、かつ地面を吹走する気流が卓越しやすい濃尾平野を対象に、風下側の猛暑に及ぼす風上側を含む数十kmスケールでの地面状態の影響を、現地観測結果に基づいて検証する。昨年度までの調査により、多治見で猛暑が発生している日には、西寄りの山越え気流が頻繁に卓越しており、そしてこの風が、地表面からの非断熱加熱を伴う特殊なタイプのフェーンのメカニズムにより多治見の猛暑の発生に寄与している可能性が高いことが示唆された(この成果はTakane et al. 2017, IJCとして外部発表した)。これらの特徴(西寄りの風と多治見の猛暑の気候学的特徴)を事前に把握した上で、平成28年度の7、8月の2ヶ月間、上記の特殊なタイプのフェーンの存在を確かめるために濃尾平野を含む計7地点で土壌水分量を含む気象要素の観測を実施した。上記の観測結果を、現地観測データの解析だけではなく、数値シミュレーションおよび統計解析という3つの異なる手法・視点からそれぞれ調査した結果、いずれの手法においても地表面からの非断熱加熱を伴う特殊なタイプのフェーンの存在を支持する結果が得られた。この結果は、風上側を含む数十kmスケールでの地面状態が、風下側の猛暑に大きな影響を及ぼすことを明瞭に示している。なお、以下の条件の時に、風上の非断熱加熱の影響が大きくなりやすいことも明らかになった。それは、1)気流が都市域を通過するとき、そして2)入力日射が大きく、かつ土壌が観測している日(風上側の顕熱フラックスが卓越しやすい条件での日)である。上記の成果は、論文としてまとめ、American Meteorological SocietyのJournal of Applied Meteolorogy and Climatologyに投稿し、受理された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
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International Journal of Climatology
巻: 37 ページ: 1456-1473
10.1002/joc.4790
巻: in press ページ: in press
10.1002/joc.5056
Journal of Applied Meteorology and Climatology
http://dx.doi.org/10.1175/JAMC-D-16-0257.1