研究課題
本研究は,細胞内の酸素濃度および濃度分布を高感度,非侵襲的にリアルタイムイメージング,計測するための蛍光・りん光同時発光型分子酸素計を開発することである。本年度は,青色蛍光を示すクマリン系蛍光色素である7DEACと,深赤色りん光を示すカチオン性イリジウム錯体である(btq)2Ir(phen)をアルギニン残基数8および12のオリゴアルギニンリンカーで結合させた7DEAC-Arg8-BTQphen,7DEAC-Arg12-BTQphenの合成を行った。開発した7DEAC-Arg8-BTQphen,7DEAC-Arg12-BTQphenは,アセトニトリル中において7DEAC由来の蛍光と(btq)2Ir(phen)由来のりん光が観測された。また,溶液中の酸素分圧をマスフローメーターで0-160mmHgの範囲で変化させたところ,7DEACの蛍光強度は一定の値を示したのに対して,(btq)2Ir(phen)のりん光強度は,酸素分圧の増加ともに減少を示した。21%酸素条件下で培養したHeLa細胞にC343-Pro8-BTQphen(平成26年度合成),7DEAC-Arg8-BTQphen溶液を最終濃度2μMで添加し,2時間培養後,蛍光顕微鏡で観察をおこなったところ,7DEAC-Arg8-BTQphenの発光輝度は,7DEAC-Pro8-BTQphenに比べて10倍程度高い値を示した。これは,開発した7DEAC-Arg8-BTQphenが高い細胞親和性を有するためである。細胞呼吸を検出するために,呼吸促進剤を添加したところ,無添加と比較してレシオが増加することが明らかとなった。検量線より,レシオを酸素分圧に換算することにより,細胞内酸素濃度のリアルタイム計測に成功した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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