研究課題/領域番号 |
26702017
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
寺村 裕治 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (10365421)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 細胞表面修飾 / PEG脂質 / ジッパー状分子 / 細胞間相互作用 / 細胞融合 / DNA |
研究実績の概要 |
同種あるいは異種の細胞間の相互作用は、発生から免疫反応あるいは癌の転移現象など、ほとんどの生命現象で重要な役割を担う基本現象の一つである。本研究では、同種あるいは異種の細胞間で起きる生物学的な細胞間相互作用を調べる材料開発と、その手法の確立が目的である。脂質二重層である細胞膜と疎水性相互作用する両親媒性高分子(例えば、ポリエチレングリコール結合脂質の誘導体)に、細胞同士の接着を誘導する単鎖DNAや相互作用するオリゴペプチドを結合したジッパー状分子を合成し、同種あるいは異種の細胞同士を接着させ、細胞間相互作用や細胞融合の検討を行ってきた。本年度では、膜融合タンパク質を模倣したジッパー状分子の創製を目指した。ここでは、細胞同士の接着を誘導するため、単鎖DNAあるいは膜融合タンパク質由来のペプチド配列を選択し、細胞同士の融合を引き起こす分子設計の検討を行った。PEG脂質末端に単鎖DNAあるいはオリゴペプチド(異なる2種類のペプチド配列)を結合させて、細胞膜表面への導入挙動を詳細に調べ、定量的にその導入量を制御できることを明らかにした。また、PEG脂質に結合した単鎖DNAならびにそれぞれのペプチド同士は、相互作用することが分かり、細胞同士の接着を誘導できることも明らかにした。さらに、細胞同士の接着反応は、細胞表面に導入したペプチドの導入量に大きく依存することがわかり、細胞同士の接着を誘発できる導入量も調べることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね予定通りに、研究が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、細胞融合に適したジッパー状分子の最適化を検討し、PEG鎖長を変化させだけでなく、接着界面の距離を短くできる条件設定に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定したジッパー状分子の条件を検討する実験に時間を要したため。
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