研究課題/領域番号 |
26702020
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研究機関 | 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
西下 直希 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 難治性疾患治療開発・支援室, 研究調整専門員 (70564243)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | バイオバンク / 医療材料学 / 再生医療 / 幹細胞学 |
研究実績の概要 |
本研究は、iPS細胞等幹細胞バンク保管管理体制から学び、次世代型となるバイオバンクのプラットフォーム開発を目指した基盤研究との位置づけである。主として、Cell history information management およびScale up技術支援用ソフト開発に着手し、次世代型バイオバンクの主軸と考えられるIoT統合を目指した設計を行っている。当該年度では、臨床用幹細胞アーカイブの細胞保管管理システム体系を応用しつつ、統合型培養履歴管理体制の構築を行った。具体的には、①既存細胞バンク技術の改善策の付与 ②既存臨床検査項目の追加 ③細胞加工製品時の利便性の課題をクリアした次世代型培養レコーダー開発に着手した。さらに、培養細胞搬送に対する既存技術の課題も明らかとした。次世代型の培養レコーダー管理を想定すべく、iPS細胞等においてもprime /naïve iPS細胞の培養の違いにも対応できるような培養条件を新規項目として導入し、また分化誘導方向の探索技術・分化誘導工程の進捗評価技術には、iPS細胞由来MSLC細胞を対象細胞に選定した。さらに培養レコーダーが、様々な自動培養装置や細胞保管管理機器に組み込むことも想定し、省スペース・低消費電力で搭載できるARMアーキテクチャ形式に変換。培養レコーダー実装予定の半自動培養機器の選定も行い、ヒト単核球細胞の半自動培養が可能である事がわかった。今後、様々な細胞種での自動培養を実施すると共に培養時の細胞培養情報管理システムとの統合性を検証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞培養情報(iPS細胞樹立情報、分化誘導情報・品質管理データ蓄積、培養条件等)を統合管理ための培養レコーダーの開発は順調であり、培養レコーダーを実装するためのARMアーキテクチャ変換と半自動培養機器との駆動形式との統合に向けて研究を行っている。当初の計画どおり、汎用性があり小型で組み込み形式の全ての条件を満たす技術での構築設計が確立できた事から研究課題は順調に進捗している。機器駆動に対するユーザーインターフェイス回りを改善するため、スケジュール調整した結果、平成28年度に培養レコーダーを導入し駆動確認を行う事となった。また、癌細胞の網羅的遺伝子解析を行うために、細胞培養後のRNAサンプルを抽出しており、網羅的遺伝子解析の準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト単核球細胞を2日間自動潅流培養にて試運転した結果、総細胞数が約70%減少した事から培養容器の設計を改善する必要が生じた。しかし、生細胞数は90%以上と良好な細胞生存率を示したことから、今後この潅流培養用容器の設計に関しての早期解決案を模索する予定である。また、培養レコーダー搭載の半自動培養容器を活用し、iPS細胞の半自動培養、分化誘導工程管理等での活用を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
培養レコーダーの組み込みに際して、汎用性・小型化を形式ARMアーキテクチャの変換工程、自動培地交換装置の駆動確認工程、潅流培養容器の設計等の全ての課題をクリアしたシステム構築を要求している。半自動培養容器の試運転の結果、ヒト単核球細胞を自動潅流培養で2日間運伝後、総細胞数が約70%減少した事から培養容器の設計を改善する必要が生じた。その結果、スケジュールの再調整が必要となり平成28年度にも関連駆動部の修正の必要が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
半自動培養容器の試運転で新たに培養容器の設計を行う。この新規容器に関連する培養レコーダーの組み込み、潅流培養の駆動確認工程等の全ての課題をクリアしたシステム構築に使用する予定である。
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