平成26年度は、(1)口腔内部入出力装置と(2)口腔外部感覚運動装置の設計と実装を行った。本研究の目的は、口腔内に装着可能な入出力装置(口腔インターフェース)を用いてヒトの感覚運動能力を拡張し、介護機器を身体の一部のように制御するための訓練方法を介護福祉学、生体力学、神経生理学、リハビリ医学の観点から明らかにすることである。この目的において、(1)口腔内部入出力装置は、ヒトの口腔部の舌や顎の筋肉運動を取り出し、舌や歯や口腔内皮膚などに感覚刺激を与えるために必要であり、本研究課題の遂行において重要な構成装置である。また、(2)口腔外部感覚運動装置は、口腔内部の感覚運動と連動して口腔外の環境を知覚したり操作や効果を与えるために必要であり、(1)と同様に本研究課題の遂行において重要な構成装置である。 研究開発の具体的な成果として、(1)では、運動検知や感覚刺激に関する情報を入出力するセンサ・アクチュエータ素子を口腔内部で保持可能な媒体に埋め込み、これらの検知情報や制御情報を口腔外部の小型装置で処理することで口腔内部への入出力機能を実現した。(2)では、環境検知機構や情報提示機構を自律移動可能な移動体に搭載し、環境の状態や操作、環境への情報提示を移動体上で処理することで口腔外部の感覚運動機能を実現した。また、(1)の装置と(2)の装置を連動させるための通信設備等も実装した。(1)の装置については、機構部分を発明案件として特許出願する準備を進めているため、平成27年度以降に研究成果を対外発表する予定である。(2)の装置については、環境検知機構と情報提示機構に関する研究成果を平成26年度に国際会議等で対外発表を行った。
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