本研究では脳卒中片麻痺による上肢の運動機能障害を対象とし、筋活動の至適方向(PD: Preferred direction)に基づいたリハビリテーション手法に加え、それを支援するためのロボット技術の開発を目的としている。
当該年度は、上肢リハビリテーション支援ロボットの制御ソフトウェアを開発し、健常者を対象とした予備実験を実施した。予備実験では、被験者が手先を目標位置に移動される到達運動課題、および手先の力を任意の大きさと方向に制御する等尺性運動課題の2種類の実験課題を実施し、その際の筋電位を計測することで筋のPDを計測した。さらに、それぞれの課題の遂行中に、肩および肘関節が発生している関節トルクに応じた外力をそれぞれの関節に印加することで、外的な作用によって筋活動のPDを任意に変調させられることを確認した。以上の結果より、本研究課題で提案するリハビリテーション手法が実現可能であることが判明し、本提案手法の実用化に向けて飛躍的な進展を遂げられたと考えている。
一方で、今年度は研究代表者の異動のため、当初計画していた研究計画のうちの一部を実施することができなかった。しかし、実験環境等を十分に整備することができたため、今後、研究の進度は飛躍的に改善することが期待できる。そのため、今年度に達成できなかった研究計画については早急に実施すること可能であると考えている。さらに、当該研究で提案したリハビリテーション手法の実用化に向け、今後も継続的にエビデンスとなるデータを蓄積していく予定である。
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