研究課題/領域番号 |
26702027
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
保原 浩明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 人間情報研究部門, 研究員 (40510673)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | バイオメカニクス / 義足 / ランニング / パラリンピック |
研究実績の概要 |
本研究ではスポーツ用義足の形状,剛性,アライメント(装着方法)の違いがランニング中の生体力学的特性に及ぼす影響を明らかにする.また,得られた知見に加えて,義足ユーザーの体力特性や形態学的特徴を組み込んだデータベースを構築する.データベースは広く一般に向けて公開し,ユーザーの体力特性に応じたスポーツ用義足の最適な選定・装着法や,効果的なトレーニング法を指導現場や医科学支援スタッフに提案する.本年度は昨年度に引き続き、義足スプリンターのレース分析データベースの拡充に取り組んだ。ウェブ上にある義足スプリンターの動画から各選手の総歩数をカウントし、公式タイムと組み合わせることによってレース時の時空間変数(平均速度、平均ステップ頻度、平均ステップ長)と算出し、個人データを紐づけてデータベース(DBAS)に組み込んだ。本データベースは平成28年3月31日の段階で健常者約100名を含む720名のデータで構成されている。本データベースから、①全クラスの共通事項として,日本人選手は北米・欧州選手と比べ100m走・200m走共に平均ステップ長が短い傾向にあること、②切断クラス・国籍を問わず、使用されている義足は主に2種類(Cheetah Xtreme,Sprinter 1E90)に大別されること、そして③外国人の一流選手4名の経年変化を追った結果、好記録が生み出される直前に義足を変更していること、が明らかとなった。こうした結果はすでに複数の学術誌で掲載されている。なお、データベース作成と並行して、義足スプリンターの動作解析実験も昨年度から引き続き取り組んでおり、平成28年3月31日の段階で日本代表レベルの義足スプリンター11名の実験・解析を終了している。今後は得られたデータから義足アライメントと地面反力、関節キネティクスおよび走速度との関係を明らかにしていく予定でいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度もデータベースに200名以上のデータを加えることができたため。また、動作解析実験でも11名の義足スプリンターの計測を行うことができたが、これはT42クラスの日本人選手のほぼ全員であり、本研究を推進するうえで貴重なデータとなりうる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年と同様、レース分析データベースと動作解析実験という二つのアプローチを行う。データベースから義足スプリンターの時空間変数の横断比較を行い、そのメカニズムを動作解析実験によって検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
Webコンテンツを利用したレース分析データベースの作成・運用にによる支出減があったため。
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次年度使用額の使用計画 |
計測したデータを速やかに解析するための計測補助員雇用や動作解析用の消耗品等の購入を予定している。
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