研究課題/領域番号 |
26702029
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
橋本 健志 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (70511608)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 乳酸 / 筋肥大 / 肥満 / サプリメント / 持久性運動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、脂肪・筋培養細胞、動物、ヒトを対象に実験を連動的に推進し、生体内乳酸濃度調節を基盤とした効果的かつ効率のよい画期的な抗肥満法の開発を目指すことであった。そのためには、効果的に脂肪を燃焼し脂肪蓄積を抑えながらも、筋量の減少を抑止するような運動・栄養処方を策定することが、運動意欲の亢進と運動習慣の継続をもたらし、肥満の根本的な予防・改善につながると考えられた。 当該年度は、C2C12骨格筋細胞の分化過程で乳酸を基軸とした混合物を添加し、細胞の分化・増殖、筋タンパク質合成に関わるタンパク質の発現変化を免疫抗体染色法やウエスタンブロッティング法、生化学的解析によって解析した。その結果、細胞増殖や筋核数の増加を観察した。また、筋形成制御因子の増加も認められた。さらに、筋タンパク質合成に関わるシグナルの活性化も認められた。 そこで、健常なラットに対して4週間の持久性走運動を実施し、併せて上述の乳酸を基軸とした混合物(サプリメント)を投与し、筋肥大・形成に及ぼす効果を検討した。その結果、運動を単独で負荷した場合と比較して、サプリメント投与を併用した際、筋形成制御因子や筋タンパク質合成に関わるタンパク質の増加に加えて、筋重量の増加が認められた。このことから、当該サプリメントを併用することで、持久性運動であってもより効果的に筋量増加を誘発できる可能性が示唆された。 これらの知見は、学術論文に公表された(Oishi et al., J Appl Physiol 2015)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、脂肪・筋培養細胞、動物、ヒトを対象に実験を連動的に推進し、生体内乳酸濃度調節を基盤とした効果的かつ効率のよい画期的な抗肥満法の開発を目指すことであった。そのために、効果的に脂肪を燃焼し脂肪蓄積を抑えるだけでなく、筋量の減少を抑止、あるいは増大させるような運動・栄養処方を策定することが肝要と考えた。 まず、脂肪・骨格筋の培養細胞に添加する乳酸やその混合物の添加用法を検討し、脂肪細胞における脂肪分解活性および筋細胞における筋酸化系代謝機能や筋細胞の増殖・分化(筋肥大)を効果的に促進することを目的とした。その後、実験動物を用いて、乳酸やその混合物投与と低強度・低ボリューム運動トレーニングとの併用の効果検証と分子機序の解明を目指す予定であった。この内、当該年度では骨格筋肥大に焦点を当て、細胞と実験動物を対象に、乳酸を基軸としたサプリメントが筋形成に及ぼす影響を検討し、有意な結果を得た(Oishi et al., J Appl Physiol 2015)。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、脂肪・筋培養細胞、動物、ヒトを対象に実験を連動的に推進し、生体内乳酸濃度調節を基盤とした効果的かつ効率のよい画期的な抗肥満法の開発を目指すことであった。そのために、効果的に脂肪を燃焼し脂肪蓄積を抑えるだけでなく、筋量の減少を抑止、あるいは増大させるような運動・栄養処方を策定することが肝要と考え、これまで骨格筋の組織や細胞を対象に、筋量増大に対する乳酸を基軸としたサプリメントの効果を検証してきた。しかしながら、今後は、乳酸を基軸としたサプリメントの脂肪減少(抗肥満)に対する効果を検証する必要がある。最終的にヒトを対象にサプリメントの抗肥満効果を検証する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
他の関連予算で研究を遂行することができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
動物からヒトを対象とした、脂肪減少効果に対する効果検証の人件費や消耗品費に充てる。
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