研究実績の概要 |
平成29年度は、本研究課題を遂行するため次の活動を行った。 ・前年度より開始した日常生活下における介入実験(研究2)を継続・完了した。具体的には、青壮年女性22名を対象とし、日常身体活動介入群と対照群による12週間のランダム化比較試験を実施した。介入群は、日常生活下にて任意の強度以上の活動時間を表示できる身体活動量計を用いて血中乳酸閾値強度以上の活動(≧LTPA)時間を積算することを目標とされた(目標時間は年齢毎に160-180分/週で設定)。一方、対照群は歩数が表示される活動量計を装着するが身体活動習慣を変容させないよう教示された。将来の運動器症候群の罹患と関連する全身持久力や筋力、身体組成といった身体的体力ならびに血液検査値について介入効果を検討した。介入群の目標≧LTPA時間のコンプライアンスは高かった(平均99%の目標時間を充足)。≧LTPAおよび中等度活動時間に有意な交互作用(群×期間)が認められ、介入群で有意に増加していた(5.4±3.8→24.3±5.3分/日, 28.6±17.3→41.9±10.4分/日)。全身持久力を反映する漸増運動負荷試験時に評価された乳酸閾値強度も同様に介入群のみで有意に増加した(5.0±0.9→5.8±0.9 METs)。本結果より、任意の強度を表示できる活動量計を用いることで日常生活下にて乳酸閾値強度以上の身体活動を積算できると考えられた。また、そのような身体活動の変容は、将来の運動器症候群の予防に繋がる身体的体力を向上させ得ると示唆された。本介入法は、青壮年期において将来に亘る運動器症候群予防に寄与する身体活動条件を担保した実践的日常身体活動促進法の開発に応用できると考えられた。 ・これまで得られた研究成果の一部について国際学会大会にて発表を行った。また、これまでの一部の成果に関して、原著論文を執筆し投稿した(査読中)。
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