本研究の目的は超高齢化社会に合った糖尿病予防策を新規に確立することであり、その目的を達成するために、肥満2型糖尿病で脂肪肝を有する30名を対象に、脂肪肝と肝臓のインスリン感受性の関係について、それぞれを1H-MRS法と安定同位体を用いた高インスリン正常血糖クランプ法を用いて定量し、検討を行ってきた。 平成28年度は、前年度までに明らかになってきたアディボネクチンの重要性などの特徴を元にその特徴に介入することで、脂肪蓄積によるインスリン抵抗性が予防・改善できるかどうか検証した。 肝臓の脂肪蓄積量とインスリン感受性それぞれに対して有意に関連する因子を以下の評価項目全てにわたり探索した。生活習慣(食事・睡眠アンケート、ライフコーダによる運動量・カロリー消費測定)、DEXA法による体組成測定、CTによる内臓脂肪・皮下脂肪定量、血液・尿中バイオマーカー測定、血漿メタボローム測定、肝生検による肝臓の病理組織評価と遺伝子発現解析。上述のパラメータを全て解析し、脂肪肝でありながら肝インスリン感受性が良好な者の特徴を明らかにし、得られた結果をまとめて学会発表・論文投稿を行った。 さらに、筋肉についても、同程度の筋細胞内脂肪量でも筋肉のインスリン感受性が良好な者と不良な者が存在することを突き止めており、筋細胞内蓄積があっても筋肉のインスリン感受性を良好に保つ者の特徴について解析を進めた。 上記成果を日本内分泌学会・日本糖尿病学会・アメリカ糖尿病学会などの学会や論文へ投稿し発表した。
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