研究実績の概要 |
平成27年度は、軽度記憶低下およびうつ徴候の高齢者を対象としたランダム化比較試験(randomized controlled trial: RCT)を実施するためのスクリーニングを行い、対象者の選定や介入研究参加の説明会、事前評価を経て、RCTを開始して第1クール(30名)の介入および事後評価を完遂した。また、同様の手続きにて第2クールの対象者の選定を行い、第2クールの介入を開始した。 運動による介入群では、週1回90分の集団での運動教室に参加してもらい、6か月間で全20回のプログラムを提供した。菜園・園芸による介入群では、週1回60~90分程度の集団での菜園・園芸作業を中心に行った。菜園・園芸作業は6か月間で18回のプログラムを提供した。対照となる講座群では、6か月間の介入期間中に2回の講座を行った。 第1クールでは1,040名の1次スクリーニングからうつ傾向(Geriatric Depression Scaleで5点以上)および軽度記憶問題を有する(主観的な記憶低下の訴えのある者、または記憶検査の結果で年齢階級に比して1.0×標準偏差以上の低下のある者)高齢者を145名抽出した。そのうちで除外基準に該当する38名を除く、107名に説明会の案内を送付して、43名(40.2%)が説明会に参加した。介入研究に同意し、事前評価を完遂した30名を3群にランダムに割り付け、介入を開始した。6か月間で3名の脱落があり、27名(運動群8名、菜園・園芸群9名、講座群11名)が事後評価を完遂した。 第2クールとして1,484名の1次スクリーニングから対象者を選定して、最終的に55名が介入研究に参加している。 また、本研究のRCTプロトコルを論文として国際誌に投稿し、既に受理されている。
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