研究課題/領域番号 |
26703002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坂本 麻衣子 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (50431474)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 援助・地域協力 / コミュニティ・ディベロップメント / 公衆衛生 / 水 / 国際研究者交流(インド・西ベンガル州) / 国際研究者協力(バングラデシュ) |
研究実績の概要 |
バングラデシュとインドの西ベンガル州では、地下水のヒ素汚染が問題となっている。この解決のために開発援助として導入される代替水源は必ずしも現地コミュニティに受容されず、持続的ではない事業も少なくない。この要因を、現地では水汲みの役割を担う女性のジェンダーと、社会ネットワークに焦点をあて、統計モデルを用いて定量的に分析することが本研究の主たる目的である。H27年度は、インドにおいて4村でアンケート調査を実施し、654世帯から回答を得ている。これに対し、H28年度はバングラデシュでの調査を予定していたが、治安の悪化が原因で調査実施を見送った。H29年度には、インドの調査との比較のために2-3村に対する調査を実施予定である。インドの西ベンガル州では、ヒ素対策のため、ガンジス川を取水源とする公共水道が建設され、農村部にも水道が建設され始めているが、3月に渡航し、この状況調査と利用者である農村部住民へのヒアリングを行なった。また、健康リスクの認知に対して比較参照するために、近年、気候変動による海面上昇で地下水の塩分濃度の上昇とこれを飲料水とする農村部住民への健康被害が危惧されているバングラデシュの沿岸部で、H27年度から現地協力者に依頼し、井戸水の塩分濃度のモニタリングを開始した。1年間を経てモニタリングを終了した後、現地協力者を通して利用者の意識調査と日常生活において食事から摂取する塩分を調査した。モニタリングの結果からは、井戸水の塩分濃度は地域的な特徴があるものの、先行研究で示唆されたように特に沿岸部で濃度が高いわけではなく、井戸の深さとより強い相関が見られた。井戸水の塩分濃度が高いと感じる場合は、他の井戸を利用することにしている世帯もおり、リスク認知には差が見られた。沿岸部の井戸水における塩分濃度と利用実態について取りまとめた論文は現在海外ジャーナルに投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
H28年度はバングラデシュでの調査を予定していたが、治安の悪化が原因で調査実施を見送った。H29年度は2-3村で実施予定である。
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今後の研究の推進方策 |
バングラデシュでの調査は、もし引き続き調査が困難な状況が続けば、ダッカに短期間渡航し、現地協力者に調査実施方法について指示するに留め、代わりに調査を行なってもらうことも検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
H28年度はバングラデシュでの調査を予定していたが、治安の悪化が原因で調査実施を見送った。
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次年度使用額の使用計画 |
H29年度は計画していた調査を実施予定であり、引き続き調査が困難な場合は現地協力者に依頼して実施することを検討しているため、経費は当初計画通り使用予定である。
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