研究課題/領域番号 |
26703003
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
辻上 奈美江 東京大学, 総合文化研究科, 特任准教授 (30584031)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 湾岸諸国 / 若者 / 教育 / 労働 / ジェンダー / 消費 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、3つの国際学会で研究発表を行ったが、学会を通じて英語での論文執筆の機会が得られた。このうちGulf Research Meeting 2015で発表した、サウジ女性の教育に対する意識変化に関する論文はGerlachから、2014年の北米中東学会で発表したアラブの春とサウジ女性の社会運動についての論文はPalgraveから出版される予定である。 湾岸諸国の女性の教育と労働については、複数の論文、学会発表を通じて研究成果を発表することができた。またこれらをアウトリーチ活動に役立てることもできた。 平成27年度の研究のうち、最大の成果のひとつは、研究を進める中で女性のネットワークおよび消費行動と起業活動の重要性を再認識できたことであった。消費行動については、昨年度後半より、湾岸諸国の男女を対象に消費と支出に関するオンライン調査を開始した。サウジアラビアおよびアラブ首長国連邦において、これらの回答を集計することができた。同時に、女性の消費行動について分析する上で重要なことは、女性の家計への貢献度と、女性による起業活動について知ることであるとの示唆も得、これらについても同時に調査を進めている。また、女性のネットワーク、特に母系ネットワークが、都市化や消費主義の時代においても重要な意味を有していることも同時に明らかになりつつある。同研究の成果は2015年の北米中東学会において発表したが、今年度も日本中東学会の企画セッションにおいても報告予定であり、引き続き継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はおおむね順調に進展している。 ただし、これまでの計画との変更点も生じている。そのひとつは、これまでの計画では、教育と労働と再生産活動の関係を明らかにすることを含んでいた。同研究は非常に重要なテーマであり、引き続き継続の予定ではある。だが、本研究期間中に完結するのではなく、他の研究とも組み合わせながら、より長期的に扱う方向で検討している。 他方で、昨年度の研究期間中に明らかになった二つの点は、女性のネットワークおよび消費行動と起業活動についてであった。最終年度となる本年度は、これらの二つのテーマにより焦点を当てて研究することとする。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、本研究期間の最終年度となる。女性の消費行動と起業活動、およびネットワークについてより解明するために、湾岸諸国の政治経済を理解するための理論「レンティア国家論」および「後期レンティアリズム」について明らかにし、それらが女性の消費行動、起業活動およびネットワークにどう関連しているのかについて解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査・研究については順調に進めることができたが、学会発表や現地調査にかかる旅費、書籍代、アルバイト謝金などは他の研究日からの支出が可能であったため、支出が抑えられた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の未使用分は、28年度に行われる現地調査および学会発表時の旅費、調査補助アルバイト謝金、ならびに論文執筆時に必要な文献購入費などとして支払われる予定である。
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