本研究では、「アラブの春」後の変革期における中東地域の若者男女の教育・労働、そして再生産領域におけるジェンダー関係の解明を行った。この研究の最大の成果は『イスラーム世界のジェンダー秩序』(明石書店、2014年)で公開している。本書では、エジプト、チュニジア、モロッコ、バハレーン、サウディアラビアについて、「アラブの春」に際する女性の社会運動への参加とそれらが政策決定に与えた影響、「革命」の場におけるレイプ事件などの性暴力の状況を精査した。また「アラブの春」後の状況は、政変を経験した国とそうでない国で大きく異なった。このため湾岸アラブ諸国については、女性の消費と起業活動について調査した。
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