本研究は研究年次計画に沿って行い、「日本筝製造業の専門家ならではの伝統技術を最大限に活かし、中国古筝の楽器上の難点である「転調」問題を理想的に解決する」という目的を予定通り果し、音響学・楽器学・演奏実践・作曲等の学際的観点から理論的に裏付けた現実的な中国古筝の改良試作案を提示した。よって、1950年以降中国古筝界における一向に解決できなかった「調子を自在に変えられない」という楽器上の致命的な欠点を、本研究成果によって初めてその実行性のある解決案が提出され、古筝の演奏の可能性を拡大することに寄与できた。また、今後日本伝統技術のものづくりの国際化と箏製造業の活性化に繋ぐことも充分に期待できる。
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