研究実績の概要 |
本研究課題の最終年度にあたる2016年度の主な研究実績は以下のとおりである. (1) 2016年7月8日から9日にかけて,新潟大学において “International Workshop: Descriptive and Contrastive Analysis on Languages of Northeast Eurasia”と題する国際ワークショップを主催した.「記述と対照」をテーマとする本ワークショップには,北東ユーラシア地域諸言語の研究に携わる国内外の研究者を招聘した.本ワークショップでの口頭発表は,サハ語が周囲の非チュルク諸語の影響を受けながら言語構造を変容させた史的変遷の一端を明らかにしたものである. (2) 2016年8月14日から28日にかけて,トゥバ共和国クズル市においてトゥバ語の現地調査を行った.本年度は主として形態音韻交替規則および形態統語規則に関する調査を実施した. (3) 主な成果公開は次のとおりである: “The third international conference on Altaistics, Altaic languages 2016”における招待講演(2016年5月,北東連邦大学・ロシア),日本言語学会第153回大会における口頭発表(2016年12月,福岡大学),"Language, Communication and Culture." 第3号所収の論文,『北方言語研究』第7号所収の論文.『言語研究』第154号所収の論文. (4) アウトリーチ活動として,2017年2月24日に新潟大学人文社会・教育科学系附置「言語学研究・言語教育センター」との共催により講演会「言語研究の諸問題: 東アジアの言語の事例から」を開催した. (5) 2017年3月に,東京外国語大学の呉人徳司氏との共編により "Linguistic Typology of the North." 第4号を刊行した.本論集所収の拙論はサハ語文法に見られるツングース諸語的特徴を他のチュルク諸語と対照しながら論じたものであり,まさに本研究課題の総括と言える.
|