本研究課題では,チュルク諸語北東グループのサハ語・トゥバ語・ハカス語を研究対象とし,主として未解明言語の包括的記述と史的変遷の解明を試みた.まず第一に,3度の現地調査を行うことによりトゥバ語文法の未解明部分の調査研究を行った.次に北東グループ諸言語間における相違点と類似点の検証を行い,同グループの中でサハ語のみが有するいくつかの文法的特異性を明らかにした.特にサハ語とトゥバ語の対照を丁寧に行うことで,サハ語が周囲のツングース系言語からの影響を受けながら言語構造を変容させてきた史的変遷の過程を明らかにすることを試みた.
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