本研究課題では,手話相互行為分析のための手話言語記述手法を提案することを試みてきた.本記述手法は,ジェスチャー研究における「ジェスチャー単位」の考え方を手話表現に援用したもので,言語の音声的要素と同等の要素を記述するものである(例:引き伸ばされた末尾の音).本記述手法により,手話相互行為における「言いよどみ」や「言葉探し」の現象を分析することが可能になった.また,この記述手法の構築により,手話相互行為において手話話者らが「即興手話表現」という方法で「言葉探し」を行い,問題を解決している事実を指摘する論考をいくつか発表するに至った.
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