本研究では、碑文および文献史料の読解を通して、5世紀から13世紀のベンガルにおける従属支配者層の性格と、彼らと王権との権力関係の推移、すなわち、その登場、軍事奉仕を中心とする王権との関係と領域支配に基づく権力の確立、宗教施設の建立とそれらへの施与を巡る王権との緊張関係と交渉、それを含めた諸矛盾の帰結としてのカイヴァルタ反乱とその後の王権の従属支配者層への強度の依存から、それを脱却しての王権による支配の確立、という歴史的過程を解明した。また、現地調査を通して近世東北インドの国家形成過程との比較可能性を模索し、新出碑文の校訂および既発表碑文の再校訂も行い、一次史料の拡充に貢献した。
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