本研究では、輸出時に自由貿易協定(FTA)税率を利用することで、輸出価格がどのように変化しているかを分析した。タイの企業レベル・税関データを用いた分析では、韓国からタイへの輸出時におけるFTA利用を企業レベルで分析を行った。その結果、FTAの利用は関税支払いを平均的に12パーセント・ポイント減少させ、輸出価格を3.6%から6.7%程度上昇させることが分かった。ただし、こうした輸出価格の上昇は、輸出企業による原産地証明手続きコストを補填するためではなく、関税低下による市場価格(消費者価格)の低下、そして需要が増えたことによることも明らかとなった。
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