研究課題/領域番号 |
26705006
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
樋口 耕一 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (00452384)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 社会調査法 / 質的研究 / 内容分析 / テキストマイニング / 計量テキスト分析 |
研究実績の概要 |
1 分析方法の提案 昨年度、主に英語圏で市販されている内容分析用ソフトウェアおよびテキストマイニング用ソフトウェアの収集を行なった。本年度はこれらのソフトウェアが持つ機能や、関連文献について、さらに詳細なレビューを行なった。これを通じて、第一に本研究で提案する手法「計量テキスト分析」でも活用すべき分析機能、あるいは取り入れるべき分析手順がないかどうかを探索した。第二に、本研究で提案する手法を、日本語以外のテキストデータに適用することが可能かどうかについて検討を行なった。その結果、本研究で提案する「計量テキスト分析」を、日本語データだけでなく英語・中国語・韓国語・ロシア語等の文章データに対しても適用する目処が立った。 2 分析用ソフトウェアの開発 第一に本研究の国際化を推進した。新たに中国語・韓国語・ロシア語・カタロニア語の文章データを分析する機能を、分析用ソフトウェア「KH Coder」に追加した。分析用ソフトウェア「KH Coder」は、自由ソフトウェア(フリーソフトウエア)としてインターネットで公開しており、これらの言語の文章を分析できるバージョン3.Alphaも「開発途上版」という扱いで公開している。またソフトウェア上に表示されるメニューやボタンの言語についても、日本語・英語に加えてスペイン語・中国語・韓国語を選択できるようになった。第二に、たとえば分析結果を他のソフトウェアで活用しやすくするなど、柔軟な分析が可能になるよう機能追加を行なった。 3 応用に適したデータと研究領域の探索 本研究で提案する方法が、どのようなデータや研究領域に適しているのかを確認するために、みずから応用研究に取り組んだ。今年度は自由回答データの分析を含む研究の成果を書籍にまとめた。また新たな応用研究のためのデータ収集計画を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外文献および海外ソフトウェアのレビューを進め、その結果を参考に、中国語・韓国語・ロシア語などのデータ分析に対応することができた。また仏語・伊語・葡語・西語データについては従来よりも正確に分析できるようになった。こうした改善を行なった独自分析ソフトウェア「KH Coder」はすでにWebで公開しており、月間ダウンロード数は3,000から4,000程度に達している。また本ソフトウェアに関する講演を、第4回九州大学異分野融合テキストマイニング研究会シンポジウム、日本教育心理学会第57回総会などで行なった。そして本ソフトウェアを利用した応用研究(論文・学会発表)は、筆者が把握している限りでも1,100件以上が発表されている。これらの点から、本研究はおおむね順調に進展していると見なせる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究はこれまでのところ、上述のようにおおむね順調に進展しており、今後も当初計画に沿って研究を進めていく予定である。翌年度(平成28年度)は本研究において提案する分析方法を、その方法を実現するためのツール(ソフトウェア)という形に結実させるために、ソフトウェア開発をさらに進める。また多くの人が利用しやすいようにマニュアル類の整備を行なう。そして多様な研究者の試用をあおぎ、フィードバックを得られるよう試みる。これを通じて方法とソフトウェアの評価に入りたい。またこの方法を用いた応用研究についても、みずから新たなデータ収集と分析に取り組むことを検討する。
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