研究課題/領域番号 |
26705006
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
樋口 耕一 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (00452384)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 社会調査法 / 質的研究 / 内容分析 / テキストマイニング / 計量テキスト分析 |
研究実績の概要 |
1 分析方法の提案 実際に本提案手法およびソフトウェアを分析に使用しつつ、この方法の有効性についての検証と評価を行った。分析結果の妥当性を多くの人が判断しやすいように、内容が多くの人によく知られているデータとして小説『赤毛のアン』原文を取り上げ、試験的な分析を行った。この分析を通じて、(1)データ量が多くても判断基準の揺らがないコーディングが可能かどうか、(2)事例的な解釈にとどまらず、データの全体像の把握や、特徴的な箇所はどこかという探索、データの潜在構造の発見など、計量的手法の利点を活かした分析が可能かどうか。また(3)質的データをいかに分析し結論を導いたかという分析プロセスを明示しうるかどうかを検討した。 2 分析用ソフトウェアの開発 新たな機能を分析用ソフトウェアに追加するとともに、多様な研究者からのフィードバックを求められるような公開の準備を行った。たとえば、より容易に分析を行えるよう、データ読み込みのプログラムを改善した。これによってテキスト形式のファイルに加えて、より多彩なExcel形式およびCSV形式のファイルを読み込めるようになった。Excel・CSV形式のデータを開けば、自由記述だけでなく、回答者の性別・年代のような変数についても同時に読み込んで分析に利用できる。また、一定の処理時間を要するものの、これまでよりも容量の大きいデータの分析に耐えられるよう見直しを行い、125万件の文書群を対象として多変量解析を行えることを確認した。 3 応用に適したデータと研究領域の探索 「1 分析方法の提案」で上述の検証・評価を兼ねて、申請者自身が本方法とソフトウェアを用いた分析に取り組んだ。また、当該ソフトウェアの開発途上版をすでに公開しているので、これをお使いいただいた応用研究のレビューに着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で独自に開発を行っている分析用ソフトウェア「KH Coder」は、すでに開発途上版をWebページにて公開している。分析機能としても、例えば凡例を追加したり、グラフのカラー表示を改善したりと、一部については、商用ソフトウェアの出力する統計分析の結果やグラフに劣らないものとなりつつある。この開発途上版ソフトウェアを用いた研究事例は、筆者の把握している限りで1500件に達しており、ここから研究の進展に大きな問題はないものと判断した。また英語版の詳細なチュートリアルについても既に2016度に前編を公表しており、後編も2017年度公表の予定である。ここから、国際的な発信に関してもおおむね順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究はこれまでのところ、上述のようにおおむね順調に進展しており、今後も当初計画に沿って研究を進めていく予定である。翌年度(平成29年度)は本研究で開発している分析用ソフトウェアについて、詳細なマニュアルとともに、初心者が第一歩を踏み出すための理解しやすいチュートリアルを整備する。またソフトウェアそのものについても、第三者になるべく分かりやすい操作体系とすることを目指す。また分析方法の提案に関しては、国際会議にて成果を発表し、コンピュータを利用した質的データの分析について、より長い歴史を持つ欧米語圏の研究者からもフィードバックをえられるよう努める。また本ソフトウェアを用いた研究事例の中で特に成功している研究の特徴を探ることで、提案手法の持つ向き不向きを検討したい。
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