本研究は,精神保健福祉医療の領域で注目されてきているリカバリーを志向する支援を展開するための方略を検討した。エキスパートの語りより得られたリカバリーの捉え方,リカバリー志向の支援を進めるうえで重要になると考えられる視点,組織やチームのあり方は,十分には浸透していない可能性が示唆された。また,リカバリーの考え方が広まっていたとしても,制度的枠組みや組織風土を含む環境で実践に移そうとした場合に,様々な困難を経験する可能性が示唆された。チームや組織で,あるいは機関を超えて,“承認的環境”のなかで否定的側面も含めて議論できるようになることが必要になると考えられた。
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