研究課題
環境内を自律的に移動する能力、すなわち移動行動は、ヒトをはじめとした動物一般にとって基本的で重要な機能である。ヒトの成人では、移動行動の制御に視覚的な動きのパタン(光学的流動)の検出、知覚が大きな貢献を果たしていることが報告されている。例えば前方への移動時には、視野上に放射状にひろがる動きのパタンが典型的に生じるが、その放射状の動きの焦点(中心)の視野上における位置は、観察者自身の環境内での移動方向と一致する。したがって、放射状の拡大運動の焦点を検出することで、私達ヒトの成人は自身の移動方向をリアルタイムにモニタリングし、適宜移動行動に関連した身体運動を制御することが可能である。本研究は、運動視(視覚的な動きを検出、知覚する機能)と移動行動の相互作用について、乳幼児期から児童期にかけての幅広い年齢層における発達段階を明らかにすることを目的としている。前年度までに、(1)生後12ヶ月未満児は放射状の光学的流動パタンの観察時に、パタンの焦点部分ではなく周辺部分に視線が集中しやすいという、成人とは正反対の視線パタンを生じること、(2)そうした乳児期特有の視線パタンは生後18ヶ月までに減少していき、さらに、およそ5~6歳前後から成人と類似した視線パタンの傾向が観察されることが明らかになった。今年度は、12歳までの子どもを対象に、それらの知見を拡張することを試みた。その結果、放射状の光学的流動パタンの焦点付近への視線の絶対量(注視時間)は、およそ10歳まで成人とくらべて有意に少ない一方で、12歳までに成人ほぼ同等の値となることが明らかになった。したがって放射状の光学的流動パタン観察時の視線パタンは、質的には就学期前後に成人と類似の傾向を示すものの、その量的特性は12歳頃までかけて、ゆっくりと変化する可能性が示された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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i-Perception,
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Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences
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http://www.human.niigata-u.ac.jp/~shirai/akachan/