移動行動の制御の主要な視覚手がかりの1つである、放射状の光学的流動(以下、放射運動)に対する視線パタンの発達を検討した。その結果、成人では放射運動の焦点(中心)付近に視線が集中する傾向が見られた一方で、生後1歳前後までは成人とは異なり、放射運動の焦点部分ではなく周辺部分に視線が集中しやすく、成人と類似の焦点付近への視線の集中が観察され始めるまでには生後5、6年かかること、さらに焦点付近への視線の絶対量(注視時間)に至っては11、12歳になって初めて成人と同水準になることが明らかになった。移動行動と視覚機能の間の相互作用は、少なくとも児童期の後期まで、ゆっくりと変化する可能性がある。
|