本研究の目的は、ブータン教育研究の対象時期から疎外され、まとまった研究成果物が提出されていない近代学校教育草創期=「少数精鋭のエリート教育」が実施されていた1910~1940年代の約40年間に着目し、当時のブータン国内における学校教育事情、及び隣国インドへの留学事情を明らかにすることである。シッキム政務官が残した記録写真、映像、年次報告書、訪問報告書等の分析やブータン各地及びインドのカリンポン等での調査を通して、季節移動を繰り返す学生の就学形態、就学者数の変遷、留学生の留学先や進路等、また「西欧に留学した初めてのブータン人」と言われる第3代国王妃のイギリス留学を巡る諸相が明らかになった。
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