研究課題/領域番号 |
26706013
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安達 正芳 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90598913)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 窒化アルミニウム / 液相成長 / エピタキシャル成長 |
研究実績の概要 |
本年度はフラックス組成・成長温度等の成長条件が窒化アルミニウムの結晶成長に及ぼす影響を系統的に調べた.また,結晶成長実験と並行し,基板として用いる窒化サファイア基板のGa-Alフラックスに対する濡れ角測定を行い,その知見を元に結晶成長プロセスの改良を行なった. フラックス組成に関して,アルミニウム比率の増大とともに窒化アルミニウムの成長速度が増大するが,アルミニウム比率が60mol%以上の範囲では,窒化アルミニウムおよび基板として用いているサファイアに分解した領域が現れ,またその分解領域はアルニミウム比率の増大とともに拡大することがわかった.昨年までの研究で,本手法により窒化アルミニウム膜を均一に成長させるためには,成長初期に微量な酸素を導入することが必要であることが示されている.アルニミウム比率の上昇とともに基板の分解領域が拡大したのは,フラックス中のアルニミウムと酸素との反応が激しくなり,基板への酸素の供給が妨げられたためであると考えられる. また,成長温度に関して,1400℃以下の温度範囲において成長温度が上昇すると結晶の成長速度が上昇するが,1400℃を超える温度範囲では成長速度が低下することがわかった.これは,温度の上昇とともにフラックス中のアルミニウムと供給窒素との反応が激しくなり,基板に到達する窒素が減少したためと考えられる. 窒化サファイア基板のGa-Alフラックスに対する濡れ角測定では,700℃から1000℃の温度範囲で,濡れ角が著しく変化することがわかり,700℃での濡れ角は150-160°となることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014年度は,ほぼ当初の計画の通り,結晶育成実験における各成長条件が結晶成長に及ぼす影響を調べることで成長条件の最適化を行うとともに,本手法の融液ダイナミクス・成長メカニズムを解明するための基礎実験として,種結晶として用いる窒化サファイア基板のGa-Alフラックスとの濡れ角測定に着手した.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,昨年度に引き続き,実際の窒化アルニミウム結晶の育成実験を行なうとともに,融液ダイナミクス・成長メカニズムの解明に必要なフラックス融液の熱物性値の取得等,基礎データの測定を行う.フラックスに用いるアルミニウムは極端に低い平衡酸素分圧を示すため非常に酸化しやすい.そのため融液物性の測定は,酸素除去のためのゲッター等を用い,試料の酸化に留意しながら遂行する.
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次年度使用額が生じた理由 |
結晶評価装置の購入が必要なくなったため,2014年度の基金分の一部を2015年度以降に繰り越した.
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次年度使用額の使用計画 |
融液熱物性測定装置の改良,若しくは融液熱物性装置の新規作製に使用する.
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