研究課題
大気中の微小粒子状物質について、その環境動態解明につながる個別粒子表面の有機物・無機物化合物分布の可視化は極めて重要な課題である。本研究では、その解析に必要な化学組成分析・イメージング技術を、大気取り出しイオンマイクロビームをプローブとした分析手法の開発により実現することを研究目的としている。本研究課題期間において、荷電粒子誘起発光(IBIL)顕微分光分析技術の高度化を行い、光子計数レベルの高分解能型分光器の開発により、波長分散型のIBIL の分析・イメージングが実現した。本分析装置を微粒子関連材料の分析に応用した。とりわけ有機物固着大気中微粒子(バイオエアロゾル)に関連する材料に着目し, NADHやリボフラビン、さらには多環芳香族炭素(PAH)といった特定有機物を対象とした分析を実施した。各有機物について、標準試料を作成し、IBILの特徴量を取得した。各材料において固有波長や減衰特性にそれぞれ差異が生じることを確認した。また照射に従って異なる発光波長の有機物への変化が可視化できることが明らかとなった。同様のIBILスペクトルの変化は標準物質のみならず大気中微粒子試料からも確認できた。高分解能大気中微粒子の個別粒子レベルに起こる化学的性質変化の詳細解析が実現した。IBIL分析では、従来のPIXE分析法では捉え得ない化学形態を含めた試料中の構造変化を計測できていると考えられる。本分析系の実現により、大気中微粒子試料を含めた多様な対象の化学形態構造変化を可視化する技術としてIBILが活用可能と考えられる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section B: Beam Interactions with Materials and Atoms
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.nimb.2017.03.05
10.1016/j.nimb.2017.01.025
10.1016/j.nimb.2017.04.017.
Sensor and Materials
巻: 28 ページ: 837-844
10.18494/sam.2016.1242
Geo-Pollution Science, Medical Geology and Urban Geology
巻: 12 ページ: 5-9