量子ビームによって誘起されるナノ空間での反応を解明し、反応メカニズムに基づいて、高感度、高解像度、低ラフネスを示す極限量子ビーム微細加工プロセスを創成することが本研究の目的である。そのために、10 nm以下のパターン形成可能な有機・無機ハイブリットナノ粒子を合成し、量子ビームから付与されるエネルギーを100%利用できる反応系を探し出す。 本年度は合成した固体高分子膜(ポリスチレン(PS)やポリメタクリレート(PMMA))中に多量の金属イオンがある場合のレジストを試作し、電子線露光装置を使って有機無機ハイブリッドの微細パターンの形成および金属パターンの直接描画を試みた。 また、高分子中での金属ナノ粒子の形成メカニズムの解明および高分子膜に金属ナノ粒子を含んだ有機無機ハイブリッドのパターン形成に対する高分子の選択や線量や加熱といった合成プロセスの最適化を透過型電子顕微鏡や吸収分光法によって試みた。最終的に、電子線描画装置を使ってどこまでパターン形成可能であるかまた、金属パターンの直接描画が可能であるかを加熱温度を変化させて調べた。 加えて、リソグラフィ技術と同様なトップダウン技術であるナノインプリント法を利用することによって微細パターンを形成し、そのナノ空間領域に自己組織化単分子膜(SAM膜)を形成し、微細なSAM膜パターン上での金属ナノ粒子の配列制御を行い、それを利用した極限量子ビーム微細加工プロセスを創成できるかどうか調べた。
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