研究課題/領域番号 |
26707001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
阿部 紀行 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00553629)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | p進簡約群 / 法p表現 / 既約表現 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き,プロp岩堀Hecke環の表現論,特に既約表現同士の間の拡大の計算を行い,これを完成させた.一昨年までの研究で判明している通り,プロp岩堀Hecke環の既約表現は,超特異表現から始まり,一般Steinbger表現と放物型誘導表現をとることで得られる.拡大の計算もこれに伴い行われる. 昨年度に行った,既約表現の放物型誘導の随伴関手による像の計算から,一般の既約表現同士の間の拡大の計算は一般Steinberg表現の間の拡大の計算に帰着される.さらに,やはり昨年度に行った既約表現のとある対合や双対に関する像の計算結果から,一般Steinberg表現の間の拡大の計算はより小さな群から伸びてきた表現同士の拡大の計算に帰着される.なお,これらの昨年度に得られていた結果は,当時まだ論文を準備中であったが,今年度プレプリントとして公開した. 典型的な場合は自明表現同士の拡大の場合である.群が分裂型である場合,Bruhatビルを用いた自明表現の射影分解がOllivier-Schneiderにより与えられており,特に射影次元の上からの明示的な評価(群の階数で抑えられる)が得られる.これと上記の一般Steinberg表現同士の拡大の計算を小さな群から伸びてきた表現同士の拡大の計算に帰着させる定理を組み合わせると,もし群が半単純かつ単連結ならば自明表現同士の高次の拡大はすべて消えることがわかる.これは自明表現同士の間の拡大であるが,一般の場合にも「Levi部分群のアフィン部分代数」への制限を考えると同様のことが成り立ち,拡大の計算はより小さなプロp岩堀Hecke環に対する超特異表現の間の拡大に帰着される. 最後に超特異表現の間の拡大であるが,これはOllivierやVignerasにより得られている既約超特異表現の具体的な記述を用いて計算することができた.論文は現在準備中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロp岩堀Hecke間における一般の既約表現同士の間の拡大の計算に成功し,もともとの目的である群の法p表現論へと向かう道ができた.これは概ね当初の予定通りである.
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今後の研究の推進方策 |
予定通り,既約表現同士の間の拡大の計算を元にして法p既約表現同士の間の拡大の計算に進む.
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次年度使用額が生じた理由 |
主に一昨年からの繰越金により,昨年度は予算に余裕があったため.
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次年度使用額の使用計画 |
旅費や,計算機関連の機器購入に用いる.
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