平成26年度に本課題で制作した狭帯域フィルターNB926を使って、Hyper Suprime-Cam (HSC)で観測を行うためのすばる望遠鏡共同利用観測時間を7時間獲得した(観測課題番号:S17B-017)。我々が提案した観測が平成29年9月に実施され、本年度の計画通りにNB926狭帯域フィルターデータを取得することができた。HSC用のデータ解析パイプラインソフトウェアを用いて、データリダクションを行い、NB926データの処理済み最終画像を作成した。NB926を用いた観測を実施した領域は、HSCすばる戦略枠サーベイでデータが取得されている領域である。そこで、他の広帯域フィルターとNB926と対をなすNB921狭帯域フィルターデータをHSC戦略枠サーベイのデータベースから取得し、すべてのデータを合わせて、多バンド測光カタログの作成を進めた。しかし、データが膨大でHSC解析パイプラインを用いた測光に時間がかかること、NB926データは初めて取得されたデータであるのでデータの評価に時間が必要なことから、測光カタログの完成には至らなかった。来年度以降、取得したNB926データの解析を進め、できるだけ早急にこのデータを使った研究成果を出すことを目指す。
NB926フィルターと他の装置の狭帯域フィルターを組み合わせることで、それぞれの狭帯域フィルターデータで同じ天体からの異なる輝線をとらえることが可能であることが分かり、今後の観測提案の計画を進めた。また、他の研究グループからも本研究課題以外の目的でNB926フィルターを使った観測をすばる望遠鏡共同利用観測に提案したいとの要望があり、様々な用途でNB926フィルターを有効活用する取り組みを進めた。
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